研究テーマ 感染症

インフルエンザ感染症について

感染症とは病原性のウィルスや細菌、カビなどが体内に入り病気を引き起こすことを言います。ケガによる傷口はもちろん、皮膚のようなバリアがない呼吸器、消化器、泌尿器などの粘膜から、原因となる病原菌が入ってきます。

また、皮膚や粘膜に普段から住み着いているカンジダ菌(カビの一種)は、免疫力の低下などの原因で異常に増殖し、体に悪影響を及ぼすこともあります。医学の歴史は感染症との闘いの歴史とも言えます。生まれてから一度も感染症にかかったことのない人はいないほど私達にとって身近な病気です。

日本や欧米を始めとした先進国では医療の発達や衛生環境の整備により、感染症で亡くなる人は年々減少しています。しかし、AIDS、エボラ出血熱、SARSなど新興感染症と言われる新しい感染症や、O157やO111といった腸管出血性大腸菌による食中毒は、現在でも死に至る非常に恐ろしい感染症です。

また、冬になると流行するインフルエンザも発症率を減らすことさえ未だに容易ではありません。実際に平成21年度では全国で約2100万人がインフルエンザに罹っています。これは国民の約6人に1人が1シーズンで1度は罹患している計算になります。(国立感染症研究所による統計)




感染症のこわさ

近年「パンデミック」という言葉が一般的に用いられるようになりました。これは感染の集団発生(流行)が特定の地域、国に限局せず、世界的に、広範囲に拡大したものを指します。過去最悪のパンデミックとしてスペインかぜ(1918年)が起こった時には、全世界で6億人が発病し、4,000万人以上の人が亡くなっています。

この時の病原体の正体は、H1N1亜型のインフルエンザウィルスであることがわかりました。近年では中国で発生したSARSや、新型のインフルエンザウィルスがパンデミックとなる寸前であったと言われます。さらに2011年にドイツで発生した新種の腸管出血性大腸菌は感染源の特定も困難なまま、欧州において食中毒の猛威をふるいました。

ますます加速する国際化社会を迎えるにあたり、私達も他国で発生した感染症についても無関心ではいられなくなっています。パンデミックを起こさないために各国で治療薬、ワクチンの製造、多数の患者を治療できる医療体制の確保、衛生環境の向上が行われていますが、必ずしも十分であるとは言えません。WHO(世界保健機構)はこれらに加え、個人防御を組み合わせることの必要を呼びかけています。




感染症と乳酸菌

WHOの提言により予防医学が感染症対策として近年注目を集めています。その中でも副作用のない予防方法として、乳酸菌の摂取が非常に効果的である事が様々な研究から実証されつつあります。これは乳酸菌により腸内細菌叢を整えて病原菌の侵入を防ぐことや、腸にある免疫細胞を刺激することで、病原体の体内への侵入に対し素早く免疫細胞が応答し、病原体を排除するためと考えられています。

さらに乳酸菌製剤が、抗生剤を使用することができない腸管出血性大腸菌の予防、治療に有用であるという研究報告が増えつつあります。数ある乳酸菌の中でも乳酸菌エンテロコッカス・フェカリスFK-23菌は特に免疫を高める働きが強いことがわかっています。

致死量の病原性カンジダ菌やヘルペスウィルス、緑膿菌をそれぞれマウスに感染させた実験では、FK-23菌の投与により致死率の大幅な改善が認められました。また最近ではFK-23菌によるインフルエンザウィルス(H1N1型)に対する致死率の改善、ウィルスによる肺炎の抑制をはじめとした予防効果がマウスによる実験で証明されています。これらの実験結果から様々な感染症に対する防御の手段として、FK-23菌に注目が集まっています。